競馬のハンデ戦ではハンデの重い馬に注目するべき。というお話をします。
競馬の仕組みを知れば馬券生活に近づきます。というのは何度も繰り返し言っていますが、ハンデ戦ではハンデキャッパーという存在が競馬の仕組みの中に入ってきます。
このハンデキャッパーの仕事を通して、ハンデ戦の馬券の買い方が見えてきます。
ハンデキャッパーの仕事
ハンデキャッパーの仕事は、ハンデ戦に出走する馬に背負わせる斤量を決めることです。すべての馬がゴール前で一直線に並ぶのが理想と言われています。
彼らハンデキャッパーは、レース登録馬に関連するすべてのレース、対戦成績、調教をよく検討しそれぞれの馬の強弱を判定します。
⇓ハンデ検討用チェックシート⇓
日常の業務として、全レースについて詳細な記録を行い、コメントを記録し、調教師等の関係者から情報を収集し、レーティングを決めているわけですから、どう考えても我々よりも深く、多方面からレース検討を行っている人達です。
馬券に勝ちたいのであれば、ハンデキャッパーの検討結果を上手に活かしていかなければなりません。
ハンデ戦の目的
プロスポーツの中で、ハンデを背負って競技をするものがほかにあるでしょうか?単なる勝負の世界、記録重視の競技であれば、ハンデ戦などというものは必要ないはずです。しかし、競馬という事業が、競馬ファンの馬券購入によって成り立っているため、こういったエンターテインメント性(弱い馬が強い馬に勝つ可能性)を持った競技があるのです。ということはつまり、ハンデ戦は競馬におけるエンターテインメントであると言えるでしょう。ハンデキャッパーは、ハンデ戦のこういったエンターテインメント性を失わせてはなりません。
しかし、このレースに出走させる側、つまり馬主や調教師の側から考えると、エンターテインメント性などという考え方はありませんよね。調教師がハンデ戦に登録してくる目的は、通常レースを走らせるよりも自分たちの馬にとって有利な条件で走れる可能性があるからでしょう。
ハンデのつけ方
このように考えると、ハンデキャッパーの立場からすると、圧倒的に強い馬が登録している場合にハンデを段違いに重くすることはできません。強い馬が出走回避してしまっては、エンターテインメント性を失ってしまうからです。
逆に、弱い馬に対して妥当な斤量を負わせることもできません。これでは勝てないと調教師が判断すると出走回避してしまうからです。
強い馬、弱い馬、どちらも出走回避してしまうと、同程度の力量の馬同士のレースになってしまいますが、これではハンデ戦の意味がありませんからね。
とすると、ハンデのつけ方は概ねこうなります。
・強い馬には、妥当な斤量よりも少し軽く
・弱い馬には、妥当な斤量よりも少し軽く
誤解されるとまずいので補足しておきますが、ハンデキャッパーが意図して斤量を調整していると言っているのではありません。競馬の長い歴史の中で作られたハンデキャップ決定プロセスの仕組みに、このような調整が入っていなければ成り立たない。ということを言っています。
軽くするにも重くするにも限度がある
もう少し考察を続けましょう。競馬のハンデ戦では、ハンデが軽い馬には注目が集まります。より有利な気がするからですが、はたして本当にそうでしょうか?
先ほど、「弱い馬にはより軽く」斤量が決まると言いましたが、これには限度があるということを考慮する必要があります。
競走馬が負担する斤量は騎手の体重とオモリの合計重量ですが、最低斤量は多くの場合51kg程度です。まれに49kgといった斤量を見ることもありますが、あまりに軽くすると物理的に難しかったり、騎手の健康状態に影響が出ることも考えられます。
斤量の妥当なところが47kgのような、群を抜いて弱い馬に対して、ふさわしい斤量を設定することができないということです。
逆に、圧倒的に強い馬に対して、重過ぎる斤量を背負わせることもできません。馬の故障の危険が高まるような斤量設定をされてしまう可能性があるなら、強い馬は出走登録することさえ避けるようになり、ハンデ戦が成り立たなくなってしまいます。
まれに59kgといった重い斤量を背負う馬がいますが、多くの場合はトップハンデの馬でも57㎏~57.5kgくらいが普通です。
やっぱ狙うべきはトップハンデ馬
このように考えると、ハンデ戦のハンデの決まるプロセスの中に、強い馬がより有利になる条件が含まれていることがわかります。
どういった時にトップハンデの馬が買いなのか?についてはもう少し検討する必要があります(例えば、最近のその馬に対するハンデは、上昇傾向なのか下降傾向なのか、つまり最近チカラをつけてきたのか衰えているところなのか?)
しかし、我々よりも長時間競馬を観察・記録しているハンデキャッパーが、「この馬が最強!」と指名したトップハンデ馬に、本来背負わせるよりも軽いハンデを与えてある可能性は高いですから、ハンデ戦でトップハンデの馬を馬券から外すのは賢明ではありません。
以上、競馬のハンデ戦ではハンデの重い馬に注目するべき。というお話でした。