競馬に関する最も信じてはいけないものは何か?
なんだと思いますか?
今回はこんな話です。
競馬で最も信じられないアレ
それは、競馬新聞のメインコンテンツを担うアレです。
「厩舎コメント」
競馬ブックや競馬エイトなどの競馬新聞では、厩舎コメントを自信度◎みたいに印をつけて紹介していますよね。
競馬新聞記者の取材力が問われるところでもあります。
しかし、関係者コメント◎の馬が好走するかというとそうでもないのは、あなたも経験からわかってきているのではないでしょうか?
私も過去にこの自信度から的中率を向上できないか研究したことがありますが、この厩舎コメントは本当にあてになりません。
なぜ、厩舎コメントを信じてはいけないんでしょうか。
厩舎コメントは何に対して述べているのか?
多くの場合、厩舎コメントはその馬の調子について述べています。また、厩務員や調教師自身が感じている自信度について述べていることも多いですね。
ただ、それって裏を返せば、「厩舎スタッフがいかに出走馬の世話を順調にこなしてきたか?」を述べているに過ぎないのです。
そう思いませんか?
競馬において、調子は重要なファクターの一つだと言われていますが、私はそうは考えていません。
走るという行為は、馬にとっては非常に当たり前の行為です。
前にも言いましたが、馬というのは肉食動物から逃げることで生き延びてきたDNAを持っている動物です。
調子の有無によって走る能力が失われるなら、その馬のDNAは後世に残すことができずに淘汰されていったことでしょう。
余談ですが人間についても同じようなことが言えます。例えば野球というプロスポーツの中で言うと、投げる、打つ、守る、走るといった、様々な基本的行為がありますが、走るという行為が最もミスの少ない行為と言われていますね。
盗塁、タッチアップ、ヒットエンドランなど走るという行為を用いた作戦が多いのは、走るという行為が他の行為と比較してミスする確率が低いから成り立つのです。
厩舎スタッフの立場も考えてみる
競馬に話を戻します。
もし仮に、自分たちが管理する馬について出走前に調子悪いと言ってしまったとしましょう。
それって、「私たちの管理能力は低いです」ととらえられても仕方がないことだと思いませんか。
サッカーや野球などほかのプロスポーツに関しても同じことが言えてますよね。
試合の前は、準備は万端、やれることはやってきた。あとは全力を尽くすだけ。
これが、勝負に挑む前の多くの人々が抱く感情であり、馬主やファンに対する礼儀です。
同じレースに出走する相手馬がどのような調整をしてきて、どのような能力を持っているか、コメントを取材したタイミングでは相手が決まってないことも多いですし、そもそも相手馬の細かいところまでは把握できるはずがありません。
このような理由から、厩舎コメントというのは、相手馬との比較では無く、
「自分たちは自分たちのできることを最大限やってきた。」
といった気持ちがコメントにも表れやすいのです。
それは、ほかのスポーツと同じように競馬ファンに対する礼儀なのかもしれませんし、八百長ととらえられないために、全力で戦う姿勢を見せなければならないのかもしれません。
また、特に厩務員のような直接馬の世話をしている人々にとっては、管理馬はかわいくて仕方がありませんよね。
ひいきに見えたり愛着があったり、わが子のようにかわいいものでしょう。
厩舎コメントが、このようにひいきな目で見てのコメントだということを、競馬ファンは肝に銘じて読むべきですし、冷静に受け止めるべきです。
前走は不利があったから仕方がない、今回は不利さえなければ戦える。
今回は調整に余念がない。やれるだけのことはやった。
こんな精神論的なコメントは、勝負行方を占うためには不要なのです。
まったく使えないわけではない
しかし、厩舎コメントを全く信じてはいけないか、というとそうでもないのが難しいところです。
そこは、冷静な目を持っている人の判断を参考にしていきます。
冷静な目を持っている人は、例えば競馬新聞の記者です。
競馬新聞の記者は、他の馬との比較で見る目を持っているからです。
例えば競馬新聞の本誌予想を参考にしてください。いわば本誌予想というのは競馬新聞の顔です。
到底人気馬になりそうにない馬に対して、◎を打ってきた。厩舎コメントも◎と自信あり。
この場合は、競馬新聞記者としても◎を打ちたくなるような何らかの根拠がある可能性があります。
またまた余談ですが、競馬新聞記者は(当然ですが)競馬新聞を発行する会社に所属しています。
最近は競馬新聞を発行する会社も増え、ネットでの無料サービスや無料予想も含めるとより競争の激しい状況になってきているのは間違いありません。
その会社の存続を担い、利益を確保するために、競馬新聞の顔である本誌予想の的中率や回収率は各社重要視する部分です。
ドラッカーじゃないですが、事業というのは、顧客の期待に応えてこそ存続が可能です。
競馬新聞の読者も色々な性格の人がいるため、競馬新聞の予想家もさまざまな期待に応えるために穴党予想家やコラムニストを用意してバラエティに富んだ予想を提供しています。これも、読者の期待に応える一つの答えですね。
しかし、本誌予想となると違います。ここはリアルに的中率、回収率を評価されるところなのです。つまり常に他社と比較の目にさらされています。
ですので、競馬新聞発行者側としても、他の予想家よりもより真剣に、勝ちにこだわった予想を展開せざるを得ません。
しかも、本誌予想では普段から穴馬を推奨することはできません。そんなことをしていたら、いかに面白い予想をしていたとしても、的中率の低い新聞というレッテルを張られてしまいます。つまり普段、特ダネの無い時には無難に本命サイドの馬から◎を打つ馬を選ぶのが普通です。
その本誌予想が、穴馬に◎を打ってきたとしたら、それは相当な自信があるか、何か決定的な情報を得ている可能性が高いと言えます。
日刊スポーツの専門誌チェックを参考にポツン◎と呼ばれる馬が激走するという馬券術が公開されたことがありますが、これは理に適っていると私は考えています。
厩舎コメント◎、本誌予想◎、穴馬。このような馬を見つけた場合は、購入馬券にぜひ組み込んでください。
今回の話に関して私が影響を受けた書籍はこちらです。どの競馬本についても言えるように、これを読んだだけで勝てるようになるとは言いませんが、馬券回収率を向上するための考え方は学べます。
ご自身の馬券力向上のためにも、読んでみてはいかがでしょうか。
以上、競馬に関する最も信じてはいけない厩舎コメントの話とその活用法についてでした。